生を受けたときから全てを与えられ、何一つ不自由なく生きてきた者特有の"退屈さ"。
城ヶ崎悟は退屈だからこの学園を乗っ取り頂点に君臨した。
俺は退屈だから城ヶ崎悟を下して支配権を握ろうとした。
その結果に待つのが虚無だと知りながらも、俺たちは退屈さから逃れる道を進んだのだ。
そしてそこから先に外れたのが俺だった。
俺は冴妃に出会って、別の生き方を知ったから。
コイツは俺だけ変わっていくのが気に食わなかったのだろう。
自分だけ置いてかけるのが悔しくて虚しくて。冴妃を奪い【黎明】を潰すことでその穴を埋めようとした。
多少の同情はするが、それだけだ。
賢人にコイツの身柄を渡し、起きたばかりの冴妃に目を向けた。
冴妃と初めて会ったとき、背筋がゾッとしたのを覚えている。
血の気を感じない青白い顔。
俺を見ているようで見ていない濁った瞳。



