冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

その反面、もしものことを考えて動けない自分もいる。


言い淀んでいると、豹牙さんが代わりに口を開いた。



「お前がどんな選択をしようが、それが正しかったのか間違いだったのか分かるのはどうせ数年後の話だ」



夜闇を照らす、一等星のような言葉。

豹牙さんは空気に溶けてしまいそうなほど頼りない私の願いをしっかりと受け止めて、一歩踏み出すきっかけをくれようとしてるんだ。

初めて会ったあの日のように。



「この先後悔するもしないも、自分の意思で行動した奴だけの特権だからな」



豹牙さんが私の頭に顔を寄せた。



「だから──今お前が潰れたら元も子もないだろ」



その言い方はまるで私にいなくならないでと言っているように聞こえた。

だから大丈夫だと伝えるように背中に手を回す。



「冴妃」

「はい」

「お前ならやれる。これはお前を信用して言ってるんじゃなくて、経験として知ってるから言ってるんだからな」

「はい。・・・安心してください」