豹牙さんに支えられながら歩いて帰ってきた頃には日が沈みかけていて、夕日に照らされた榊館の窓がやけに輝いて見えた。
私たちのリビングはオレンジと紫のフィルターをかけたように綺麗に染められている。
それに何となく寂寥感を覚えるのは、私が感傷に浸っているからだ。
両親にまともに取り合って貰えなかった。だなんて、何の変哲もない、いつものこと。
だと言うのに、こんなに傷ついている自分に嫌気がさす。
秋風にあたって冷えた頭に浮かぶのは、そんな自己嫌悪ばかりだ。
豹牙さんたちが来てくれたのは本当に嬉しかったが、私と家族の問題なのに、私が弱いせいで巻き込んでしまった。
豹牙さんたちに、迷惑を・・・。
罪悪感に押し潰されるように、ぎゅっと目を閉じた瞬間、鼻をかすめたのは──嗅ぎなれたハーバルノートの香りだった。
「え。なんで、豹牙さんのお部屋に・・・?」
「お前がまた、死にそうな目をしてたから」
息を呑んだ。



