冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

私が落ち着いたところで、豹牙さんが手を差し伸べてくれた。



「帰るぞ」


その手を取り、立ち上がる。

両親が引き止めるようなことを言っていたが、ブレザー越しで上手く聞き取れない。いや、それは聞かなくていい。

今の私によって不要なものだから。



「俺らが帰るまでここから出すなよ」


応接室の扉を閉めた豹牙さんがそう指示した。

それに「はいよ」と答えたのは浬の声。

あぁそうか。浬が豹牙さんを呼んでくれたのか。
あとでお礼、言わないと・・・。

でもこの場にいたのは豹牙さんと浬だけじゃなかった。


「もう大丈夫だからな〜、冴妃」

「ゆっくり休めよ」


裕次郎さんに、賢人も。

2人とも今日は出掛けていたはずなのに、駆けつけてくれたんだ。

私は仲間に恵まれてるな、とまた泣きたくなった。