冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

「豹牙さん・・・」



来て、くださったんだ。



私が安堵したのと、両親が声を上げたのはほとんど同時だった。



「き、君は誰なんだ!」

「今大事な家族の話をしているの!悪いけど出てってちょうだい!」



豹牙さんがそれに怯むわけもなく。



「過呼吸の娘をさらに追い詰めておいて、話も何もないでしょう」



毅然と言い放った豹牙さんは、私の頭に自身のブレザーを掛け、膝をついた。

夜空色の瞳と目が合う。

そして形のいい唇をそっと動かした。



「冴妃。大丈夫だから、ゆっくり息を吸って──そう。で、吐くことに意識を向けろ。これもゆっくりでいい」



いつになく甲斐甲斐しい声に身を委ね、息を吸う度に豹牙さんの香りに包まれて、全身から緊張が抜けていく。



「ほら、冴妃」