「冴妃ちゃん大丈夫だから・・・!」
「落ち着け、冴妃!」
お願い、話しかけないで。
来ないで。
背中摩らないで。
気持ち悪いの。
気持ち悪いから離れてよ。
底の見えない海に溺れていく感覚がする。
どれだけ藻掻いても無駄で、光がどんどん見えなくなっていって。
『私』が消えていくような、そんな感じが・・・──。
コンコンコン
扉からノック音が聞こえた。
いつもは申し訳程度にしか叩かないのに、今日に限ってやけに丁寧なそれは、私を掬い上げるのに十分な効力をもっていた。
「──失礼します」
あぁ、やっぱり。
「冴妃。大丈夫か」



