両親の中には『一条冴妃』という絶対的な理想像がある。
その範囲なら何をしたって文句を言われない。
むしろ可愛がられ皆が羨む愛娘になれる。
だが、そこからはみ出した途端、私のことを異端者として扱うんだ。
「お前は頭がおかしい」と「恥ずかしい」と。
まるで『一条冴妃』の枠の中に『私』を押し込めるかのように。
必死に抵抗しようが、それを上回る罵倒に心が折られ、次第に無気力になっていく。
いつもこうだ。
いつも・・・────。
「お願い、だから・・・黙って。今、落ち着いてるところだから・・・」
「分かった。でもお前も拗ねたら泣くの辞めろみっともな──」
「お願い。声、聞きたくないの」
「分かってる。分かってるけどお前も1回黙れ。じゃないと泣きやめな──」
「っ、泣き止むために静かにしてって言ってるんでしょ」
「だから────」
なんで私を聞き分けのない子どもみたいに扱うの。



