「失礼します」
コンコンコン、とノックをして入ると、面談室のソファに両親はいた。
私の安全地帯である学園に両親がいると実感しただけで、胸がぎゅっと締め付けられて苦しい。
「あ、冴妃ちゃん」
パッと顔を上げた母親と目が合った途端──何故か眉を八の字にされた。
え、何。
私まだ何も言ってな──。
「その変な髪型、どうしたの?」
あっ。
やらかした、と瞬時に悟った。
いつも実家に帰るときは髪を結んで誤魔化してきたのに。
動揺のあまり、母親が好まないウルフカットのままここに来てしまった。
サーっと血の気が引いていく。
「えと、」
言葉に詰まって、次が出てこない。
私は今までどうやって『一条冴妃』の仮面を被ってきたのだろうか。



