冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

今のところそういう情報は入ってきていないが、学園外の情報は手に入れるまでに多少のラグが生じるので、安心はできない。

ならばひとまず学園内の巡回をしておこうと、制服が掛かっているハンガーに手を伸ばした。






「浬」


名前を呼ぶと、前を歩いていた浬はポケットに手を突っ込んだまま足を止めた。


「おっ、冴妃じゃん。学園で会うとか珍しーな」

「ですね」


そう相槌を打ち、2人並んで廊下を歩く。

現在の時刻は17時15分。

放課後である今は、【堕天】どころか一般の生徒の姿もほとんど見られなかった。

そのことに安堵したと同時に、別の不安が胸に巣食った。


【堕天】が原因じゃないなら、何がそんなに引っかかってるんでしょう・・・。


気を紛らわせるためにちらりと浬を盗み見ると、薄い唇の端に口紅が付いていた。