冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる


豹牙さんにはただの冴妃として扱ってほしかったから。



「へぇ、冴妃か。一応覚えておいてやるよ」



豹牙さんは僅かに口角を上げながら踵を返し、再び歩き出した。

「またな」と言い残して。




私の生活はガラリと変わった。

まずあの日、豹牙さんと話していて母親の職場に行くのが遅くなったことを酷く心配された。

その結果、塾が早く終わっても特別に部屋で待たせてもらい、母親の迎えを待つことになった。塾の先生の生暖かい視線が気持ち悪かったし、兄の「そんなこともできないのか」と嘲笑う様が不快だった。


でもそんなことより大事なのは私の進学先だ。


その日のうちに私は私立京極学園に行きたいと言った。

当然、両親は反対した。

「全寮制は不安」
「今の志望校に不満があるのか」
「大丈夫。今度は落ちないって塾の先生も言ってるでしょ?」

と、想定内のことをまくし立てられたが、それでもいいと答えた。