誰も私を知らない場所に行きたい。
自由に、私らしく生きるために──。
「大丈夫・・・じゃないな。そんなに痛かったか」
上から降ってきた男の人の声にハッとして、急に現実に引き戻された。
そうだ私、人にぶつかって・・・。
違うんです。あなたは悪くないんです。私が勝手に泣いただけで・・・。
そう誤解を解こうとしたが、口から零れるのは嗚咽ばかり。
上手く言葉を紡げない。
そんな私を見かねたのか、彼はため息をついて──グイッと私の腕を引いた。
「こっち」
「っえ」
「ここにいたら目立つだろ、俺もお前も」
それはそうだけど・・・。
知らない人について行ってはいけないと大人から散々言われてきた。
だから本来なら今すぐ手を振りほどいて逃げるべきだ。



