冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

だってそうじゃないか。

誰も『私』を肯定してくれないのだから。


『私』らしい言動をすると両親は「頭おかしいのか」とまるで未知の生物を見るような目で非難してくる。

『私』の悩みを話すと塾の先生と友達は「羨ましい」と言ってくる。


クラスメイトと兄は『私』も『一条冴妃』も嫌いだろうけど・・・。


でも『私』を捨てて両親の望む『一条冴妃』になれば、苦痛から解放されるんじゃないかな。

『一条冴妃』は女の子らしいものが大好きで、誰に何を言われても荒波を立てず、いつも愛らしい笑みを浮かべているお人形のような子だから。


・・・そもそも、なんで私は『私』なんだろう。


生まれたときから『一条冴妃』として育てられたのに、なんで・・・。

なんで『私』が生まれたんだろう。


『私』がいなければこんなに苦しむことはなかったのに。
『一条冴妃』として女の子らしい生活を送れたのに、なんで。


でも、でも私は。


『私』らしくありたい────。



そんなときだった。