この頃の私にとって、1人で何も考えずにいられるこの時間が唯一の気休めだった。
何故なら心の支えだったノートは私が目を離した隙にハサミで切り刻まれて捨てられていたから。
原因は兄だろうが、ノートのことを掘り返せばまた両親が怒ると分かっていたので泣き寝入りするしかなかった。
そして痛みを発散する場を失った私は少しずつ壊れていった。
何をする気にもなれず、ただ両親が望むような『一条冴妃』の仮面を張りつけて誰に何を言われようとにこにこして温和な性格を演じ続けているうちに、心から笑った日を思い出せなくなり、自身の痛みに鈍感になってしまったのだ。
夜眠るときは動悸がして上手く睡眠がとれず、朝起きると心と身体が乖離していくような感覚に陥った。
何をしていても楽しくない。
何を食べても美味しく感じない。
歩いてるときだって、地面を踏む感覚がしなかった。
自分が本当に生きているのかすらも確信が持てなくなっていく。
──今、死んだら楽になれるかな。
気づけばそんな考えが脳裏を横切るようになっていた。



