そもそも嘘をつくのは悪いことではないのか。


本音と建前の区別がつかない私はこのとき酷く困惑した。

そしてそれが沈黙に繋がってしまったのだ。


そのことを試験終了後に両親に話すと
「そんなのちゃちゃっと答えれば済んだ話なのに」
「どうしてそんな簡単なことが出来ないの」
と非難された。

こうして私は劣等生のレッテルを貼られることとなった。



そして両親の過保護は悪化した。



私の失敗を何より恐れるようになってしまったのだ。


中学校受験には失敗しないようにと週6で塾に行かされただけならまだ良かったが、両親の過保護は色んな場面で発揮された。


例えば家で料理の手伝いをするときは母親が必ず隣に控えていたし、分からないことがあると教えてくれるのではなく母親が全て代わりにやるので、私の出る幕がなくなった。