冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

ヤツの挑発や態度に苛立ったからでも、気圧されたからでもない。

この感情は「軽蔑」だ。


それを自覚した私の口から零れたのは──乾いた笑いだった。


「は、ははっ。アホらし」

「何?」

「言葉の意味、ちゃんとわかって使ってんのか?」


私は言葉を軽率に使う奴が嫌いだ。

「最強」は「最も強い」と書く。
つまり「一番強い」という意味だ。


だがそんなもの・・・────。



「最強なんてものは存在しない。馬鹿の一つ覚えみたいにそう易々と口にするな」



言い切ると同時に走り出した。


勝機がない?それがどうした。

私の目的はヤツに勝つことじゃない。



「そういう極端な言葉を使うからお前らの言葉は全部薄っぺらくなるんだよ!!」

「その理屈でいくとそっちの総長も最強じゃないってことになるね」



私の渾身の蹴りは軽々と避けられ、代わりに頭を蹴られた。