「ごめんね。邪魔が入った」
あぁ愚かだな、と思った。
弟が敵に踏まれていても見向きもしないような男を信じた齋藤香菜子が。
「ん?あー、この子たちのこと気になる?確かに元仲間だもんね」
「別に。大方情報収集のためだろ」
「おっ、正解。なにか有益な情報ないかなって近づいただけだよ。なのに僕らより【黎明】のこと知らなくてびーっくり。
──正直期待はずれ」
ヤツが声のトーンを落としたからか、齋藤香菜子の顔が青ざめた。
だがもう反論する気は起きないらしい。
「まぁいいけどね。本命はお前だし」
ヤツの目が獲物を狙うようなものに変わった。途端、悪寒が走る。
まるで鋭いナイフを首に突き付けられているようだ。
思わず後退りそうになったが、それを悟られぬよう声を上げる。
凛として咲く花のように、強く。そして気高く。
「もうお喋りは十分だろう。ここからはどう足掻いても平行線だ。だって私はお前の仲間になる気がないからな」
ヤツの眉がぴくりと動いた。



