冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

まだ状況が呑み込めないヤツを冷たい目で見下しながら告げる。


「残念でしたね。これでも私は【黎明】の幹部だから、人並みに戦えるんです」


ヤツを助けようとする構成員たちを目で制す。そして視線を下に戻すと、ヤツは苦しそうに顔を歪めながら声を絞り出した。


「さっきまでのは演技だったのか・・・!?!?」

「当然です。誰があの状況で感じるんですか。それに、私がいつも誰といるのか忘れたとは言わせませんよ」


言外に「お前は豹牙さんより下手くそだ」と告げると、ヤツの顔は屈辱のあまり真っ赤に染まった。

もちろん豹牙さんとそういうことをしたことはないが、ヤツにそれを知る手だてはない。


【堕天】は今日、終わりを迎えるから。



「実はこのメガネ、録画できるんだよな」



そうメガネを外しながら言うと、周囲の緊張感よりも焦燥感がやや(まさ)った。
何故なら私の言動があの方を彷彿とさせるから。