冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

それがタバコの匂いだと気づいたときには、ヤツは私の肩に顔をうずくめていた。


「っ、やめ」


首元に唇を落とされ身をよじると、今度は首筋に舌を這わせた。

途端、悪寒が走る。


「ん、やだっ・・・」


それなのに口から発するのは甘ったるい声。


「ううっ」


あぁ気持ち悪い。

声と身体と心が乖離してしまいそうだ。


ヤツは私の反応がお気に召したのか、ツーっと太ももを撫でる。


そしてヤツがメガネに触れたとき。



────もういいや。



何かがぷつりと切れた気がした。



「歯が黄色いぞ。タバコの吸いすぎか?」

「は───」



5秒足らずの出来事だった。


私が腕の拘束を解き、ヤツの頬を引っ掻いてソファーから落とし、みぞおちを踵で踏みつけるまで。