冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

メガネを取られなくてよかった、と他人事のように思った。





堂本大弥一行に連れてこられたのは廃工場──数週間前に環あやなが追放された場所だった。

最近奴らがよく出入りしていると聞いていたので「なんだここか」と呆気なく感じた。

多分奴らは「前に抗争があったばかりのところを拠点にするなんて【黎明】の奴らも思うまい」とか考えてここを選んだのだろう。

まぁ残念なことに私たちはアタリをつけて拠点を探るのではなく全てを網羅した上で探るので意味なんてないんですが。


とはいえ楽観視できるのもここまでだ。


扉が開かれた瞬間、周りの温度が数度下がったような感覚がした。

それとともに動揺ひとつすら読み取れないほど強く気を引き締める。

そんな私がやって来たのを見て、この場で1番高い場所に腰を下ろしているヤツが足を組み直しながら口角を上げた。



「待っていたぞヒョーガの飼い猫」



ヤツは暴走族【堕天】二代目総長、城ヶ崎武。そして、城ヶ崎悟の弟──。