冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

「ママは冴妃ちゃんのために頑張ったんだから冴妃ちゃんもママのお願い聞いてよ・・・!!」みたいな独りよがりなことを言わないし、ヒステリックにもならない。


私はその割り切った思考に多々救われている。


今だって「せっかく豹牙さんに綺麗な景色を見せていただいたのに心の底から喜べなくて申し訳ない」という罪悪感が霧散した。

一応喜ぶフリをしようと思えばできたけれど、しなかった。

だって豹牙さんは私が取り繕うのを嫌うから。

そんなことすんな、いつも『私』らしくあれと背中を押してくれる。


そういうところ、すごく好きだなぁ・・・。


改めてそう思う。

手すりに身を預けたまま、夜景そっちのけで豹牙さんに視線を向けた。

月明かりに照らされいつもよりアンニュイな雰囲気をまとっている。
端正な輪郭がより際立って見え、整ったまつ毛が作るはくっきりとした影。

本当に、見れば見るほど魅せられていく。