ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

「果林……大丈夫か?」
「……ご、ごめん。びっくりしちゃった……」
(心臓飛び出るかと思った)

 玄関から左右に首を振ってゾンビがいないかを確認する。

「よし、もう大丈夫」

 靴棚の上に置いてあるヘルメットを被り玄関のドアの鍵を閉めて、バイクに乗って高校へと向かっていった。
 通学路にはゾンビも人も道にはいない。かと思いきや……やはりゾンビはいた。横道からいきなり出てくるので心臓に悪い。

(ホラーすぎる)

 バイクから道を見渡したりしているが、それにしても人に出会わない。自衛隊や警察の車両なんかも見当たらない。

(この辺にはいないのかな?)

 そうこう考えているうちに高校に到着した。正門は雑に開けっ放しで施錠されていない。
 バイクに跨ったまま正門をくぐり、駐車場にてバイクを停める。 
 バイクから降りると冷たいそよ風が頬に当たった。

「果林……」

 勇人が左手を差しだす。握れ。という事だろうか。
 私は彼の左手を取り、ギュッと握ると彼は校舎内に向けて歩き出した。

(多賀野くんの手、冷たいままだ)

 校舎内は電気が点きっぱなしの教室もあれば、暗いままの教室もある。施錠されている教室とされていない教室もあって、管理があまり行き届いていない雰囲気を感じさせる。