ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 うすくまるようにして倒れているゾンビの真横を通ってバイクに向かい、座席に跨って走り出す。ぶろろろろというバイクのエンジンが静かな埠頭の中にこだました。
 埠頭を抜け出て海沿いの道に出ると、途中でコンビニがあるのが見えた。

「ちょっとコンビニ寄っていい?」
「……うん」

 このコンビニにはやはり人はいない。ゾンビもいないようだ。おそるおそるドアを押して勇人と入店すると店内の商品棚にはほとんど商品が置かれていなかった。
 だが、菓子パンや食パン、常温コーナーに置かれてある缶ジュースの類はまだ置かれてあったのでそれらを3つ程取って会計の机に1000円札を置いた。

「お待たせ、行こう」

 再びバイクは家に向かって走り出した。ちょうジュースが欲しかったので入手できたのはありがたい。しかも好きなオレンジジュースだ。これは楽しみである。

(家帰ったら飲もう)

 ゾンビが時折通る道をひた走る。そして住宅街へと入っていくと自宅が見えた。

「ついたね」
(無事帰ってこれた)

 私がバイクから降りると勇人は父親がバイクをよく停めている箇所へと器用につけてくれた。どうやら彼はバイクの停車位置を覚えていたようである。

「ありがとう」
「いや、これくらい……」