ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 その後も砂浜の上で座ったり、立ったりして海の向こうをじっと見ていた。やっぱり静かな海を見ていると心が落ち着く。何も邪念や雑念がやってこない。

(のんびり海を眺めるのは良いなあ……)

 その時。向こう側に黒い鎌形の背びれがひょっこりと見えた。これは……イルカか?
 鎌形という事はサメの類ではなさそうな。

「果林」

 勇人がその背びれに気が付いたのか、私の前へと立ちはだかる。それと同時にあの黒い背びれがよくない相手である予感が胸の中に現れた。

(まさか……イルカのゾンビ?)

 胸騒ぎが大きくなっていくのと同時に、黒い背びれがこちらへと向かって泳いでくる。泳ぎ方はあのゾンビのサバとは違って力強く荒々しささえ感じる。

「離れろ」
「……わ、わかった!」

 勇人の言うように海から離れる。そして海面からジャンプしてきたのはグレー色のイルカだった。
 目は赤くぎらついていて、口をぐわっと向けて勇人に襲い掛かって来る。

(やっぱりこれイルカのゾンビだよね?!)