ドゴッ
母親の後ろにもう1人誰かがいたようだ。その「誰か」は、母親の後頭部に回し蹴りを浴びせる。
「ぐ……」
母親がその場で倒れた事で、「誰か」がようやく全貌を見せた。きりっとした綺麗な形をした二重の瞳に、少し青白い肌に黒髪ベースに金色のメッシュを入れ、ピアスだらけの長身でしなやかな肉付きの学生。右手には鉄パイプを持っている上に全身至るところに返り血なのか自身の血なのかわからないくらい、血を浴びている。
勿論、その姿には見覚えがあった。
「え、多賀野……さん?」
多賀野勇人。学校では知らない者はいないと言っていいレベルの生徒……不良である。絶対に関わるなというお達しが教師から出ているくらいなのだから彼が如何に恐ろしい人物か、想像に難くない。
しかも、県内一大規模な暴走族の総長であるという話も聞いている。
「なんで……」
そんな彼が、なぜここにいるのか。私は彼へ家の住所を教えた事は無いのだが。
「う……」
倒れている母親がまた動き出す。すると、勇人はそんな母親の頭めがけて鉄パイプを思いっきり振り下ろした。
「っ」
完全なとどめだった。私は目をつむったまま、動く事が出来ずにいる。それに足に力が入らない。そのまま重力に負けて床に座り込んでしまった。
「あ……」
とにかくここから動かなきゃ。という気持ちと、勇人がなぜここにいて、何を考えているのかわからない部分からくる不安が私を完全に支配してしまっている。
すると、小さいが確実に聞こえる声が聞こえてきた。
「ダイ、ジョウブ、カ?」
母親の後ろにもう1人誰かがいたようだ。その「誰か」は、母親の後頭部に回し蹴りを浴びせる。
「ぐ……」
母親がその場で倒れた事で、「誰か」がようやく全貌を見せた。きりっとした綺麗な形をした二重の瞳に、少し青白い肌に黒髪ベースに金色のメッシュを入れ、ピアスだらけの長身でしなやかな肉付きの学生。右手には鉄パイプを持っている上に全身至るところに返り血なのか自身の血なのかわからないくらい、血を浴びている。
勿論、その姿には見覚えがあった。
「え、多賀野……さん?」
多賀野勇人。学校では知らない者はいないと言っていいレベルの生徒……不良である。絶対に関わるなというお達しが教師から出ているくらいなのだから彼が如何に恐ろしい人物か、想像に難くない。
しかも、県内一大規模な暴走族の総長であるという話も聞いている。
「なんで……」
そんな彼が、なぜここにいるのか。私は彼へ家の住所を教えた事は無いのだが。
「う……」
倒れている母親がまた動き出す。すると、勇人はそんな母親の頭めがけて鉄パイプを思いっきり振り下ろした。
「っ」
完全なとどめだった。私は目をつむったまま、動く事が出来ずにいる。それに足に力が入らない。そのまま重力に負けて床に座り込んでしまった。
「あ……」
とにかくここから動かなきゃ。という気持ちと、勇人がなぜここにいて、何を考えているのかわからない部分からくる不安が私を完全に支配してしまっている。
すると、小さいが確実に聞こえる声が聞こえてきた。
「ダイ、ジョウブ、カ?」


