(もう調査がある程度進んだのだろうか)

 そしてニュース画面もその新たな特異個体を伝えるものに切り替わる。

「では桜風医療研究所より中継です」

 中継先は医療研究所の敷地内にある建物の中。テロップには無菌ルームと書かれている。この医療研究所からゾンビウィルスが漏れ出たのだが、多分中継先は安全地帯なのだろう。

「先ほど、特異個体について新たな個体が確認されました」

 白い防護服に身を包んで会見を行っているのはなんと父親だった。驚きながらもテレビ画面を食い入るようにして見つめる。

「新たに確認された個体は人間の血を吸う個体となります。我々はこの特異個体をタイプヴァンパイアと呼称する事に先程決定いたしました」
(タイプヴァンパイア……)
「このタイプヴァンパイアについてまだ現状未知の部分も多いのですが、分かっている範囲での情報をお伝えしようと思います」
(未知の部分……)
「このタイプヴァンパイアは人間を捕食するのではなく、名前の通り血を吸う個体となります。血を吸われた場合人間はそのままゾンビ化する事も確認されました。またこのタイプヴァンパイアは人間以上の身体能力を持っている可能性があり、引き続き調査を続けていく予定です」