ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 それから夜を超え、朝。この日も私は無事に朝を迎えられた。勇人にも異常は見られない。
 ベッドから起きた私はベッド下であぐらをかいて座っていた勇人におはよう。と声をかける。

「……おはよう」
「……1階行こう。朝ご飯食べなきゃ」
「待って」

 勇人が私の左横から抱きついて動きを止める。ああ、彼にも朝ご飯が必要なのを思い出した。

「ど、どうぞ」
「……あむ」

 左首元に彼の顔が覆いかぶさった。血を吸う彼の顔はどんな表情なのかよく見えない。まあ大方いつも通りの無表情さは変わらないと思うのだが、それでもどんな顔をしているか少しだけではあるが気になったのだった。

「……ごちそうさま」
「今日はいつもより少なくない?」
(昨日はもっと吸ってたような)
「そうか? じゃあ」

 おかわり。とでもいわんばかりに顔を私の首元に埋めて吸血を再開する。

(私の血、どんな味なんだろう)

 胸から聞こえるドキドキした音を手で押さえつけるようにして、彼の食事が終わるのを待つ。

「……終わった」
「おなかいっぱい?」
「ああ」
「じゃあ、下降りよう」