ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 確認の為近くの水族館をスマホで検索した所、案の定閉館しているどころか避難所になっていた。

(これでは無理だ。避難所に多賀野くんを連れては行けない)
「ごめんなさい、閉まってるみたい……」
「そう、か……」
(ゾンビパニックなのに開いてる水族館なんてどこもないよな)

 テレビ画面はいつの間にかいわしの大群からシャチの親子に切り替わっていた。下顎に丸くて焦げ茶色の痣のある母親が子供を率いて水槽の中を泳いでいる。画面のテロップを見る限り人工授精で誕生したらしい。父親は中国の水族館にいる個体とも書かれていた。

(へえ……)

 シャチにも人工授精が行われているのか……。勇人も水槽で泳ぐシャチの様子に目線を向けている。

(こういう動物ってゾンビになったりはしないのだろうか)

 すると、私のスマホが鳴る。父親からだ。

「もしもし、お父さん?」
「果林、元気か?」
「うん。私は大丈夫。そっちは?」
「ああ、こちらの体調は大丈夫だが、正直少し疲れがある」
「そっか……そうだよね。あ、マニュアルあったよ。読んだから」
「そうか。すまんがしばらく1人で頑張ってくれ。市役所とか避難所に行ってもいいから。じゃあ」
「あ、待って!」

 電話を切ろうとした父親を慌てて引き留める。