ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 ガチャ。ガチャガチャガチャガチャガチャ。

「っ!!!!」

 玄関のドアががたがたがたといきなり音を立て始めた。しかも何度もけたたましく音が鳴る。

「え何々?!怖いんだけど!!」

 私はとりあえず武器になりそうなもの……包丁を持って、まずはリビングにあるインターホンから、玄関の様子を見てみた。

「え、お母さん……?」

 玄関の前にいたのは確かに母親だった。しかし、何か全体的に様子がおかしい。具体的には目がうつろで肌の色が雪のように真っ白になり、左肩から胸にかけてひどく出血をしているのが見える。

「……出て、みようか」

 私は意を決して玄関の扉を開く事にした。もちろん、襲われたら怖いので、包丁を構えたまま。
 玄関のドアのカギを開いた時。

「グわあああああああ」
「わああ!!!!」

 案の定というべきか。母親が猛獣のように襲い掛かってきた。私は包丁を持った腕を伸ばそうとしても、うまく腕が動かない。

「お、お母さん!私!果林!!気づいて!!」

 そう呼びかけつつ不器用な動きで包丁を降るも、母親はうめき声をあげながらこちらへゆっくりと足を引きずりながら進むだけだ。
 そんな母親の腹部にも大きな傷が出来ていた。だが、痛がる様子は微塵も感じられない。

(やっぱ、殺さなきゃだめか)

 親殺しの覚悟を決めた時。母親の後ろに一瞬影が見えた。