ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

「……ごちそうさま」

 勇人がゆっくりと私の左首元から顔を離した。やはり出血は止まっている。触る限り傷もなさそうだ。

「果林」

 すると勇人の唇が私の唇に覆いかぶさる。血を吸い終えた後のデザート代わりのキスだろうか。彼の舌が私の舌に蛇のように巻き付いて離さない。さっきカップ麺食べたばかりなのに戻してしまいそうになるくらいには息が荒ぶってしまう。

「んっ」

 40秒ほど経過しただろうか。勇人がようやく口を離した。

「……はあっぜえっ……」
「……果林?」
「ごめん、キスすると息あがっちゃう」

 すると勇人の左手が私の頭の上にぽんと置かれた。そしてそのままぽんぽんがしがしと撫で始める。

「へっ?」
「かわいい」

 笑うでもなく、無表情のまま私に対して何度も可愛いと呟く勇人。えっと、これはどう反応したら良いのだろうか。

「かわいいかなあ?」
「うん、かわいい」

 かわいいという声には感情や熱がこもっていたりはしない。ただ淡々と述べられるだけ。それでも私は少し嬉しさを感じるようになってきたのだった。彼にかわいいと言われて頭をぽんぽん撫でられるのは悪い気はしないし、むしろだんだんともっともっと撫でてほしいという気持ちさえ湧いて出て来る。