ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 勇人が私の腕を引っ張る。私はめいっぱい足を動かして走る。
 勇人も同じようにして走る。速度は私よりも遅いがそれでも昨日より動きが俊敏になっているのが改めて理解できた。
 出入り口を出て、家に向かって荷物を持ってひた走る。

「はあっ……」

 どれくらい走っただろうか。と足を止めて辺りを見回すと住宅街まで戻って来られていた。ふうっと大きく息を吐くと右横の細道から老いた女性のゾンビがふらりと姿を現す。

(まずい!)

 ゾンビの左腕が私の首元に迫った。私はそれを避けようと後ろにジャンプするが体勢を崩す。
 しかし勇人がすんでの所で、鉄パイプでゾンビを薙ぎ払った。ゾンビはそのままゴロゴロと細道の方へ倒れ動かなくなった。

(まずかった……)
「ありがとう、多賀野くん……」
「果林……大丈夫か?」
「うん。大丈夫。多賀野くんのおかげだよ」

 勇人はちらっと私を見た後、すぐさま歩き出した。私も彼の後をついて行く。
 こうして家まで無事到着した。鍵を開けてゆっくりと家の中に入る。

(誰もいないよな)

 玄関の扉をがっちり閉めて施錠出来ているか確認してからおそるおそるリビングに向かう。幸いにも侵入者はいなさそうだ。
 私はカウンターの上に、食料の入ったバッグをどかっと置いた。