ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 買い物かごからバッグに食品を入れ終える。そのタイミングでゾンビが2人店へと入って来た。店の出入り口付近を中心に一斉に悲鳴が上がる。

「きゃあああ!」
「ゾンビだ! 逃げろ!」
「おい! 武器はねえのか!」

 皆散り散りになりながらゾンビから逃げ出す。ああ、そう言えばこことはまた違う場所にも出入り口はある。そこから出よう。
 そう考えているのは私だけではないようで、結構な数がそちらへと移動していく。

「早く逃げろ!」

 私は勇人の腕を掴み、そちらへと走る。だが、勇人はそこまで早く走れないようだ。

「おい! そんなゆっくりだと追いつかれるぞ!」

 白いキャップを被ったおじいさんにそう叫ばれた。ゾンビはこちら側の音を感じ取ったのか、徐々に距離を詰めにかかる。

(早く逃げないと)

 すると私が向かう先からまたも悲鳴が聞こえた。

「はさみ撃ちだ!」

 ゾンビが今度は3人、やって来ている。これでは文字通りはさみ撃ちだ。

「ま、まずい……」

 その時。勇人が私の後ろに迫りくる2体のゾンビに鉄パイプを何度も振りかざし、息の根を止めた。

「多賀野くん!」
「果林、こっちに……!」