ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 うどんを食べ終えると、器を流しで洗って後片付けをしてからまた自室に戻る。
 洗い物で少々体力を使ったので、ベッドで横になり昼寝をした。昼寝から目覚めると、気が付けば夕方になっており、スマホには通知が大量に来ているのが見えた。

「なんなんだ……」

 私は先ほど見たゾンビパニックのニュースの中に埋もれていた、クラスメイトの1人からのメッセージを見つけてページを開いた。

「果林、学校がやばい。皆ゾンビになってってる」

 そのメッセージに私は嘘でしょ? そんな事ある? と目を疑ったので、試しにテレビをつけてみる。

「皆さん、一刻も早く安全圏に逃げてください! この街でもゾンビが大量発生しております!」

 白いヘルメットをつけたアナウンサーが高台からその街の様子を鬼気迫る表情で伝えていた。その街の景色には見覚えがある。

「これ、うちの家から結構近いじゃん……!」

 その高台は私が住む街一帯が見渡せる場所にある。という事は、私の家の近くでもゾンビパニックが起こっている可能性が高い。

「っもしかして……!」

 私はあわてて母親に電話したがつながらない。何度かけても電話に出る事は無かった。

「どうしよ……」

 こんな時に限って、母親に情けなく頼ろうとしている自分がいた。あんなにけだるかった身体が、今は倦怠感が無くなっていった代わりに不気味な寒気がする。

「どど、どうしよ……!」