ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

「よ、よかった……よかった」

 家の鍵やその他貴重品も無事だ。母親のスマホも無事だが待ち受けには彼女の安否を心配するメールが知人や親戚から送られてきているのが見えた。お金を口座から引き出せれるかどうか一瞬迷ったが、それを考えるのは後にしておこう。

「お待たせ、行こう」
「それはなんだ?」
「お母さんのバッグ」
「そうか。見つかって良かったな」
(……会話のレベルが上がってる?)
「うん、探してたから良かった。とりあえずご飯どうにかしなきゃ」

 レジの横から緑色の買い物かごを取りレトルト食品のコーナーに勇人を連れて向かう。道中、彼は私の左手を握っていた。体温が感じられないのは変わらないが、握る力が増したような気はする。

「まだある」

 お子様用のカレーが一番多く残っている。高校生の私にはちょっと薄味に感じるがそんな事を気にする余裕はない。10個くらいどかっと買い物かごの中に入れた。そしておかゆや中華丼、牛丼などのレトルト食品もかごの中に入れる。
 カップ麺はとりあえず一番余っている某有名ヌードルを10個くらい入れた。

「これくらいでいっか。あと缶詰も欲しいな……」

 果物の缶詰とツナの缶詰も何個か入れるとレジの近くの台に置かれたお金を入れる箱に母親の財布から折り目のついた1万円札を抜き出して入れたのだった。