ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 ゾンビの体勢が大きく崩れ、そのまま尻もちをついたのを勇人は見逃さず鉄パイプを振りかざしてとどめを刺した。

「これでもう……大丈夫だ」

 勇人は何ともないというように鉄パイプを降ろし、歩き始めた。あの襲い掛かって来たゾンビよりも動きが明らかにスムーズで人間のそれとは遜色ないようになっている。昨日はもっとぎこちなかったのに。

(成長?)

 その後はゾンビと出会う事無くスーパーへと到着した。しかしそこにはゾンビではなく、人間の人だかりが出来上がっている。

「食料はどこだ!」
「店員いねえし勝手に持ってっていいだろ!」
「それはだめですよ! 盗みはよくないです!」
「おい! ちゃんと列並べ!」
(なんだか世紀末じみてきてない?)

 人間達が集団となって食料を強奪していく。すると1人の40代くらいの男性と目が合った。あっやばい。と思って目をそらすが彼は興味ありそうにこちらへと近づく。

「君達も食料を確保しに?」
「あっはい」
「あのスーパー店員がいないんだ。全員ゾンビになってしまって遺体もどっかに搬送されてるって噂。だから置いてあるものは好きに取るか専用の箱にお金を入れてから持って帰るんだってよ」
「そうなんですね……教えてくれてありがとうございます」