ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

「失礼します……」
「どうぞ。あまり片付いてなくてごめんねぇ」
「いえいえ……」

 あまり片付いていないとは言ったが部屋は綺麗に片付いており、掃除も行き届いている雰囲気は感じられる。

「この机にどうぞ」

 お婆さんは長机がある居間へ私達を誘導する。そして台所へと向かうとお茶をグレー色の湯呑みに入れて私だけにその湯呑みを渡した。

「この子はお茶いらんじゃろ? いるなら用意するけども」 「ああ……はい。多賀野くんどうする?」
「いや、いらない」
(勇人がタイプヴァンパイアなの、知ってる?)
「あの」

 私はお婆さんに声を掛けた。まるで勇人が私の血しか飲み食いしないのを知っているかのような行動。もしかして何か知っているのだろうか?

「お婆さんは……多賀野くんがゾンビなの、知ってるんですか?」
「肌の色を見たらすぐに分かる。それにゾンビを見るのは初めてじゃないからねぇ」
「え?」
「こないだ来たんだよ。男女の恋人で男の方がゾンビで女の方は身籠っててね。ここで3日間いたかな。でも迷惑になるからって言って出て行った」
「そうだったんですか……」
「男女が出ていく時。また、ここにも誰か来るかもしれないからその時が来たら匿って上げて欲しいって言い残してね」