数日後。ウィルスの完全除去が終わった。私達にも異常は出ていない。
 あれから彼の死体はくまなく調査が施された。そして彼には牙が生えていた事や彼の体液からはゾンビウィルスが大量に検出された事が特に印象に残った。

(噛まれたらおしまいだな……)

 彼に噛みつかれたら最後。というのはすぐに理解出来た。
 これくらい、調べるまでもなかったが念の為実験用のマウスを使ってゾンビに噛まれたらゾンビウィルスに感染するかどうかを調べる事になった。
 検査方法は彼の唾液を採取し、それをマウスにかけるというもの。
 結果はやはりと言うべきか、実験用のマウスはゾンビになった。ゾンビになったマウスからは牙が生え、目も充血し赤く染まり攻撃的な様子を見せていた。
 幸いゾンビになったマウスはすぐに安楽死処分となったので被害は0。勿論マウスの死体は、研究の為に保管が決まった。

(なんでゾンビウィルスが漏れ出たのか……)

 ゾンビウィルスがなぜ桜風医療研究所から漏れ出たのか。
 それはある1人の若い男性スタッフがゾンビ化した事に起因する。