ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 焼きサバは骨抜き処理がなされており、非常に食べやすい。サバは結構骨が多いイメージが勝手ながら脳内に存在していたが、これは意外だった。

(骨が無い魚の方が食べやすいな、やっぱり)

 食事を半分ほど食べ進めた段階でばたばたと先ほどの女性がこの部屋に戻って来た。

「あ、あの……」
「なんですか?」
「食事が終わったら、多賀野くんの所に来てくださいませんか?」
「わかりました」
「お食事、焦らなくていいので。終わりましたらベッドの上にあるナースコール押してくださいね。では、失礼します……!」

 女性は震えた甲高い声でそう指示をすると、慌てて去っていった。何かあったのだろうか。

(やっぱり血を吸えてなくて、おなかすいてるのかな)
 
 そんな考えが頭の中によぎる。そして割り箸を動かすスピードと物を飲み込むスピードも次第に速くなっていく。
 速く速く、彼の元へと行かなきゃ。

「ごちそうさまでした!」

 食事を食べ終えてホットミルクを空になるまで一気に飲み干す。そしてナースコールのオレンジ色のボタンをぎゅっと押した。
 5秒ほどで白い防護服を着た人が3人部屋に入室してくる。その中にはさっきの女性もいた。