「……」

 あれからどれくらい眠っただろうか。パチリと目を開けると目の前にはラブホテル跡の部屋の天井とも、自宅の部屋の天井とも違う見知らぬ白い天井と銀色に輝くカーテンのレール台が飛び込んでくる。
 それに視界の左側には点滴台がある。

「?!」

 私はガバッと飛び起きた。この部屋は……病室か? 

(私しかいない。多賀野くんは?!)

 白い壁で覆われた個室。窓は一切なく、右側には茶色い棚があり小さな黒い薄型テレビが置かれている。

「こ、ここは?!」

 すると白いドアが左右に開閉し、白い防護服を着た人間がぞろぞろと入って来る。

「田中果林さん。気が付きましたか?」
「……ここはどこなんですか? 多賀野くんはどこにいるんですか?!」
「落ち着いて聞いてください。ここは桜風医療研究所になります。多賀野勇人くんも別室にいますから心配なく」
「へ……? 医療研究所?」

 私はあれからあの部屋で寝たはずだ。それが何故か桜風医療研究所に搬送されている。

(……捕獲されたんだ)

 私と勇人は捕獲されたのだ。

「……多賀野くんは、多賀野くんは。無事なんですか?」
「彼はタイプヴァンパイアですから無事も何も……」
「無事なんですよね?! 変な事してないですよね?!」