「皆様お集まり頂き、ありがとうございます」

 父親が一礼し挨拶する。その瞬間カメラのフラッシュが一斉に焚かれた。

「結論から言いますと、この度私達はゾンビウィルスの抗体を発見しました。その抗体からゾンビ化を予防するワクチンを作製できる可能性が出て来た事になります」

 ゾンビ化予防ワクチン。その言葉に呼応するかのようにまたカメラのフラッシュがパシャパシャと焚かれる。

「その為にも自衛隊、警察と協力しなるべくタイプヴァンパイアの個体捕獲を進めていきたいと考えております」

 タイプヴァンパイアの捕獲を進める? 確かにあの2人はタイプヴァンパイアだったが……。
 質問時間は今回は無く、そのまま会見は終了となった。

(タイプヴァンパイアがもしかしてワクチン開発の鍵を握っている……?)

 そういえば勇人に血を吸われた後、いつも傷跡は一切残っていない。ひょっとするとその辺りが関係しているのだろうかと考えたが、素人の私には分かる訳が無い。

(一体なんなんだ……)

 私はそのままベッドに倒れ込むようにして、目を瞑った。