ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

(旅行するくらいなら勉強しろって、お母さんからはよく言われてたな……)

 つくづく母親は可哀想な人だった。

「果林、座ったら?」
「うん。多賀野くん膝枕ありがとう。……痛くなかった?」
「ううん。痛くない」
「そっか。なら良かった。結構長い事寝てたから」

 確かに自分でもやや驚くくらい、長い事寝ていた。部屋にはグレー色ねカーテンがかかっており、更にはサッシか何かがなされてあるのか外からの光は漏れ出ていない。

(何時か分からなくなるような感じがするかも……しっかり時計は見なきゃ)

 テレビに映し出された猛スピードで泳ぐ白黒模様のイルカの大群が目に飛び込んでくる。すると画面の上付近に白い門司でニュース速報と記されたテロップが点滅し始めた。

(またゾンビパニックのニュースだろうか)

 半ば呆れながらも速報がテレビに表示されるのを待つ。
 勇人の手を硬く握りながら。

「タイプヴァンパイアの個体を新たに捕獲」

 ニュース速報はやはりゾンビのニュースだった。しかもタイプヴァンパイアの捕獲。
 サブチャンネルからメインチャンネルにチャンネルを変えると早速このニュース速報が報道されていた。

「今回捕獲されていたタイプヴァンパイアの個体は2人。いずれも10代の男子生徒の模様です」