ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 スマホで試しに調べてみるとこのドアはやはり関係者専用のものだった。注文した食事は小窓から渡される……らしい。人となるべく接触しないようにしているともサイトには書いてあった。
 洗面台の鏡はやや曇っているのと洗面台とトイレは少し古めのものだが十分気にせず使えそうだ。蛇口からは水も流れるしトイレの水もそうだ。

(ここなら家と変わらず暮らせそうだ)

 ラブホテル跡がここまで状態を保っていたのには正直驚きを隠せない。勇人ら鬼龍会のおかげだろう。

「多賀野くん、すごいね。ここまで綺麗にしていたなんて」
「拠点だから……当然だ」

 無表情ながらどこか言葉に力が感じられた。これはゾンビになった彼と出会ってからは初めてのように聞こえる。
 
「あと、さっきは、ありがとう」
「さっき?」
「荷物……運んでくれた」
「ああ! あれくらいは大丈夫だよ。心配してくれたの?」
「ああ、まあ……」
「心配かけちゃってごめんね。私は大丈夫」

 だが、疲れが無いと言えばうそになる。なので私はベッドの上に座った。ベッドのかけ布団はふかふかとしていて汚れも無い。
 ひょっとしてこのベッドも鬼龍会のメンバーが洗濯してたりしていたのだろうか。