ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

 覚悟を決めてからは胸の中がすっと軽くなったような気がした。通学用のリュックに私物や母親と私の貴重品なんかを詰め込む。その他には着替え何種類かとパンやジュースなどの食料も入れた。
 そして両親の寝室に向かい、父親の私物である黒い大きなリュックを取り出し、そこに勇人の分の着替えや私のリュックには入りきらなかった食料なんかも入れる。

「果林?」
「多賀野くん、これ背負ってくれる?」
「わかった」

 勇人は嫌がるそぶりも無く、荷物でパンパンになったリュックを背負った。そしてそのまま玄関に移動し靴棚に置いてあるヘルメットを被った。

「……さようなら」

 こんな風に家を飛び出ていくなんて、思ってもみなかった。しかし仕方がない。私達はバイクに跨り、家を去る。
 バイクの後ろに勇人の分のリュックを靴棚の中にあったロープで頑丈に括り付け、座席に跨るとバイクは駆け出す。

「……果林。どこへ行こうか」
「……誰もいなさそうなとこがいい」

 そうだ。誰にも会わないような、誰にも知られていないようなそんな所がいい。まあ、あまりに人里から離れていると食料とかどうするんだという話になって来るので、加減が難しい所ではあるのだが。

「じゃあ、オレ達の基地に……行こう」