私は勇人と顔を見合わせた。勇人は向こうの言い分を理解していたようで、私の左手を握る。

「果林……行っては……だめだ……」
「でも、拒否権は無いって」

 すると玄関のドアがガチャガチャと鳴り、中に防護服を着た人々がぞろぞろと中に入ってくる。しかも土足で。

「タイプヴァンパイア確保!」
「なっ……!」

 防護服を着た人々が勇人を取り囲む。私もいつの間にか彼らに取り囲まれていた。

「さあ、乗ってください」
「えっ……ちょっ、いきなり……!」

 彼らの圧になすすべが無い。このまま押されるようにして家の側に停車した救急車に乗せられそうになる。

「はなせっ!」

 すると勇人が両手を大きく動かして防護服を着た人々を殴ったり蹴ったりと攻撃を始めた。防護服を着た人々はバタバタと倒れたりビビって救急車の方に逃げたりとこちらからは距離を取り始める。

「果林! 大丈夫か……?」
「わ、私は大丈夫……」

 勇人は私を取り囲んでいた彼らにも回し蹴りなどの攻撃を浴びせる。まるでアクション映画を見ているかのようだ。

「まずい! 逃げろ!」
「タイプヴァンパイアでここまで攻撃性が高いのは……データに無いぞ?」
「いや、こいつもしかしてタイプヴァンパイアじゃないんでは? 新種じゃあ……」