まことはリュックから自分の私物をすべて出した。文房具、ノート、少ないが、洋服。そうしてハラジュクタウンガイドブックという雑誌を取り出した。
 「とうとうやってきたぜ。憧れのハラジュクタウン!」
 まことは雑誌のページを繰って行った。
 「ん」
 車の音がした。
 「ん。来たか」
 と、まことは雑誌をしめた。
 ふすまが開いた。
 「あ、てめえ。娘の部屋に入んなっつたっろう」
 「まこと、家財道具が来たぞ」
 「わーった。わーった」
 まことはたった。
 「ただし、もう二度と娘の部屋に入んじゃねえぞ」