ヴァロンタンの前で母親は自決。彼の前で母は最期にこう言った。
『アイツらを皆殺しにして……』
その言葉を残して息絶えた。

財政は枯渇しているにも関わらず、欲に溺れた皇帝を見てヴァロンタンは寝る間も惜しんで剣に打ち込みつつ、水面下で味方を増やしていった。

ヴァロンタンは帝国民と当時は平和で蔑ろにしていた軍部を味方につけた。
重い税制に苦しんでいた帝国民はヴァロンタンを支持した。
女性に入り浸り帝国軍を蔑ろにしていると不満を持っていた軍部はヴァロンタンに手を貸したのだ。

圧倒的な軍事力と民を味方につけて、皇帝を退位に追い込み、その後に宮殿に住む全ての者達を殺害。
宮殿と後宮は血に塗れた。
今も圧倒的な軍事力で帝国を支配しており何人も彼に逆らうことは許されない。

そしてヴァロンタンの子供は四人だけ。
それは国のバランスを取るために婚姻が組まれて、皇后一人につき一人だけ子供を授かった。
皆、母親が違い、水面下では自分の子供を後継にするために熾烈な争いが繰り広げられていた。