(ざまぁみない……クソ女)

手は後ろで縛られているため口しか使えなかったが、今から首を斬られて死ぬのだからもう我慢必要するつもりもない。
ルイーズにやられっぱなしではプライドが許さなかった。

牢の中でずっと考えていた。
何故キャンディスは愛されないのか、ルイーズは愛されるのか。
色々と考えたけれど、確かなことはキャンディスはルイーズにいいように使われていたという事実だった。


「愛されるのはお前じゃない。このわたくしなんだから……っ!」


違うとわかっていても、その思いだけは譲れなかった。
そう思い込んでいないと涙が溢れてしまう。
掠れた声と共にキャンディスの口端から血が伝っていく。
周囲からも『悪魔だ』という声と悲鳴が響き渡る。
騎士に蹴り飛ばされたとしても、キャンディスは折れなかった。
鋭く睨みつけると次第に騎士たちは後ろに後ずさっていく。

しかしその騎士たちと入れ替わるように父である皇帝がキャンディスの前に立つ。
姿を見てしまえば愛されたいという気持ちが込み上げてくる。
いつもと同じで冷たい瞳でキャンディスを見下ろしていた。


「俺がお前を愛することはない」

「…………」