トップシークレット☆ ~お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる~【減筆版】

 ――作戦は無事成功したものの、わたしは何だかワケが分からなかった。わたしもまたドッキリにかけられたような気持ち、というのか……。

「……どうして貢がここに? 打ち合わせでは、あの場で登場するのは内田さんだったはずじゃ」

「ああ、内田さんから連絡を頂いたんです。今日、絢乃さんが危ない目に遭うかもしれないから、新宿駅前に来てほしい、って」

「相手が激昂してる時に、見ず知らずの男が現れたら事態が余計に悪化するかもしれないと思ってな。ここは格闘技を習得した彼氏に花を持たせてやった方がいいかな、って」

「内田さん、そういうことは事前に教えておいてくれないと。わたしをドッキリにかけてどうするんですか!」

 そういう問題じゃない気もしたけれど、わたしはとにかく一言抗議しないと気が済まなかった。

「悪い悪い。でも、桐島さんが間に合ったんだからよかったじゃん」

「そうですよ! 僕が間に合ったからよかったですけど、下手したら絢乃さん、本当に危ないところだったんですからね!?」

 彼が怒っているのは、わたしのことを本気で心配してくれていたからだ。だからわたしは叱られているのに嬉しかったし、自分の無謀な行動を猛省した。

「……ごめんなさい」

「でも、無事でよかった……。本当によかった」

 彼は深いため息をつくと、ここが公衆の面前だということもお構いなしにわたしをギュッと抱きしめた。

「ちょっ……、貢……?」

 彼はわたしを抱きしめたまま震えていた。泣いてはいないようだったけれど、それだけでわたしへの心配がどれくらいのものだったかが伝わってきた。
 わたしは彼の背中に手を回し、そっと背中をさすった。父の葬儀の日、泣けなかったわたしに彼がそうしてくれたように。

「ごめんね、貢。心配かけちゃって、ホントにごめん。……でも、心配してくれてありがと。もっと他に方法はあったはずなのにね。わたし、これくらいの方法しか思いつかなくて」

 路上で抱き合っていると、周りが何だかザワザワと騒がしくなってきた。

「……とりあえず、クルマに乗って下さい。話はそれからです」

「そう……だね」

 これ以上のイチャイチャは人目が気になるので、わたしたちは彼のレクサスへと移動することにした。

「じゃあ、あたしたちもこれで撤収しまーす♪ あとはお二人でどうぞ♪」

「絢乃さん、オレたちこれで五十万円分の働きはしたよな?」

「はい、十分すぎるくらいです。今回は本当にありがとうございました!」

 探偵カップルが引き揚げていくのを見届けてから、わたしたちも貢の愛車へ乗り込んだ。