オリさんの眉が悲しげに下がる。
すると、さっきの高圧的な態度は瞬時に消えてしまった。
「重ねて、あなたにお願いがあるのです。
……あのお方を助けてほしい。
これは、あなたにしかできない事です」
「あのお方……?」
雰囲気で分かる。
オリさんにとって「あのお方」がいかに大事な人かって。
「オリさん。あのお方って、」
「凌生様が戻られました。先ほどの話は、どうぞご内密に」
ガチャ
言い終わった瞬間、車のドアが開いた。
見ると、スマホを片手にした凌生くんが「未夢、戻ってたのか」と笑みを浮かべている。
「凌生くん……」
「どうした未夢?」
さっきの話が頭の中をグルグル回って、混乱する。
その時、運転席に座るオリさんが咳ばらいをした。
「しっかりしろ」という、私への合図だろう。



