キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ


「凌生くんの秘書をされているということは、総季家の暴虐武人な仕事振りをご存じなはずです。そして苦労もされているはずです……。

私が謝ったところでどうにもならないのは分かっています。だけど、どうしても謝りたくて……」

「……そうですか」


四つの名家からすると、目の上のタンコブな総季家。

その娘の私を、オリさんは嫌な顔一つせず迎えてくれた。

そればかりでなく、私の体まで気遣ってくれて……。

こんなに優しくしてもらえることがありがたくて、その倍、申し訳ない。


「……あなたは」

「はい」

「あなたはB地区にいる全員に頭を下げて回るのですか?」

「え……」


オリさんから返って来たのは、冷たい声だった。


「B地区はいわば監獄――そこにいる限り総季に脅かされることはないが、自由に生きる選択権もない。

この現状を前に、あなたは謝るだけ? それだと、いつまで経っても監獄は監獄のままです。

あなたが総季の行いを本当に悪いと思っているなら、あなたの手で監獄を甘園へ変えてください」

「!」


B地区を、監獄から甘園へ変える?

私が――?