「可愛い服……。これは凌生くんの、」
「もしもの時用に置いてあるだけの服だ。決して俺のじゃない」
「ふふ、分かってますよ」
お風呂に入った後、サッパリしたからか。
部屋に来たときよりも、自然と凌生くんと話すことが出来ていた。
「じゃあ出るか。忘れ物ないか?って、何も持たずに家から出て来たんだっけ?」
「お恥ずかしながら……」
凌生くんがフッと笑ったのを見て思い出す。
そうだ、私は何も持ってないんだよ。
お金だって一文無しだ!
「あ、あの凌生くん……。私、やっぱり買い物は行かないです。制服は洗えば綺麗になりますし」
「……お前、ウソが下手だな」
「え、わぁ!」
凌生くんに手を引かれて、部屋にある全身鏡の前に立たされる。
「可愛い人質を着飾りたいっていう、俺のエゴに付き合ってくんないの?」
「え、エゴ?」
「未夢の意志は関係ない。俺がお前の服を買いたいから行くだけ。だから、お前は俺の隣にいるだけでいいの。分かった?」
「!」



